駆け出しエンジニアはPMFの夢を見るか?

駆け出しエンジニアの記録

『エンジニアリング組織論への招待』を再読した

本を整理していて、本の表紙に「技術的負債・経営との不和。プロジェクトの理不尽。上がらない生産性。そのすべての正体は不確実性の扱い方の失敗にあった。」と書いてあり、気になり出したので再読した。

エンジニアリング組織論への招待 ~不確実性に向き合う思考と組織のリファクタリング:書籍案内|技術評論社

2022年1月に昇進試験があり、そのときにマネジメントとは何か?みたいなお題で少し話す必要があったので、年末年始の帰省の間に読んだ記憶がある。 当時の私は上長の指示がふわふわしていて曖昧な指示が多いなと感じていたので、以下の文を読んで考えを改めた。この内容を昇格試験で話したら、面接官の管理職の一人がいい考えですねと言ってもらえて、受けが良かった記憶がある。

企業という組織は、組織全体を通じて、何かを実現するために、より曖昧な状態から具体的な状態に変化させるということをおこなっているのだと俯瞰できます。いわば不確実なものを確実なものに変化させる「処理装置」なのです。(p.13)

個人的な行動の観点として、以下の文を読んでこれはコントロールできることとできないものを意識するようになり、コントロールできないものは一旦置いておいて行動するようになって気が楽になった。1on1でコントロールができないものに対してはお気持ちとセットで上長に伝えるようにはしていたが...。

何か問題を感じたり、不安を感じたりしたときに、人は知らず知らずのうちに、「コントロールできないもの」をコントロールしようとして、さらに思考が混乱するとか、ストレスに感じてしまいます。何か、問題を解決したかったり、良い結果をもたらしたかったら、何がコントロールできるのか、そして何がコントロールできないのかを冷静に判断する必要があります。(p.40)

1年くらいマネジメントっぽいことをやって再読したことろ、マネジメントについて書いてあるところが目につくようになって、マネジメントをやったことも無駄ではなかったのだなと再認識した。リスク管理の本も読みたくなってきたので、再読して良かったなと感じる。

マネジメントとは、対象となる〇〇の資源・資産・リスクを管理し、効果を最大化する手法(p.136)

この本で複数の施策をどれか一つしかできないときに、それぞれのチームで観点が違うことが対立の原因になっていることが書かれており(「コストと売り上げ」や「資産と負債」の観点)、足並みが揃わない時はそれぞれが何をよくしようとしているのか?や今は何の数値をよくしようとしているのか?に立ち返って話すのもいいのかなと思った。

私がいた部署は新規事業のところで在籍した約4年間採算が取れない状態だった。会社としては力を入れると言っていたが、アサインされるメンバーはずっと新卒か未経験のメンバーしかアサインされず、本当に力を入れる気があるのかなと思っていた。この本を再読して、不確実性が高い新規ビジネスだったからアサインされるメンバーが新卒や未経験のメンバーが多かったのかなと思った(ベテランエンジニアに比べて給料が安いので予算が少なくて済む、採算が取れるようになった段階でベテランエンジニアとか投入するつもりだったのではないのだろうか?)。「人の行動に悪意を見出すな」といったようなことが書いてあり、理解できていたつもりであったが、経営陣に対してはできていなかったことに改めて気づいた。

何か新しいビジネスやシステムの開発を行うとします。将来性はありそうですが、不確かです。このように、不確実性が大きい段階で、大きな予算をつけて大きなプロジェクトを走らせると、失敗した場合にその投資のすべてが無価値になってしまいます。(p.46)

組織で働く中で自分がネガティブな気持ちになったら、再読すると新たな気づきがありそうなので、折に触れて読み返したい。

(余談)放送大学で数学を勉強していたり、サラリーマンになって社会学文化人類学や哲学に興味を持って勉強するようになったことに対して、自分の行動の意味が支援されている気がした。

工学とは数学と自然科学を基礎とし、ときには人文社会科学の知見を用いて、公共の安全、健康、福祉のために有用な事物や快適な環境を構築することを目的とする学問である。(p.10)